嚥下について

薬が飲めない!? 介護・医療職必見!錠剤嚥下障害について徹底解説

こんにちは。STケアマネのナカマル@NBTKST2222です。

10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。

現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。

このブログでは、介護・医療職が悩みがちな

○臨床(言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下を中心)のこと

○お金に関係すること

○職場の人間関係について

について発信しています。

今回は、介護・医療職の方必見の内容。あなたの近くにも必ずいる錠剤嚥下障害について徹底解説します。

はじめに

介護・医療職の多くの方は患者さんや利用者さんに服薬をする機会は多いと思います。服薬する機会がある方の中には、「最近薬を飲み込みにくそうにしている」とか「喉に違和感がある」という訴えを聞いたりするような経験ありませんか?

もしかするとそれは錠剤嚥下障害と呼ばれる症状かもしれません。

今回は必ずといっていいほど実は身近にいると思われる錠剤嚥下障害について原因やアセスメント方法、対処法などについて徹底解説をします。

錠剤嚥下障害とは

そもそも錠剤嚥下障害とはどのような症状を指すのか。ある程度文字から推測できると思いますが、その名の通り薬を飲み込むことが難しくなる症状を指します。本来は、胃腸に運ばれるべき薬が、口やのど、食道に留まってしまうため、本来は治療のために飲んでいるはずの薬ですが、誤嚥してしまったりすると誤嚥性肺炎のきっかけにもなりますし、最悪の場合は窒息を引き起こしてしまうこともあります。

その他にも、薬が口の中やのどで溶け出してしまうことで、薬の効き目が遅れて出てしまったり、長時間食道に残り続けることで、粘膜を傷つけ痛みを生じたりすることもあります。

代表的な症状を以下に上げていきます。

処方された薬を全て飲み込めない

高齢者は基礎疾患を持っている方が多いです。病院に入院すれば新しく薬を処方されることになります。介護施設に入所していたり、介護認定を受けている高齢者の中には多量の薬を飲んでいる方もいます。薬の量が多いと、飲み込みが難しい人は全ての薬を飲み込むのが困難となります。

錠剤を飲み込むのがこわい

薬を飲む時にムセた経験がある方の中には、薬を飲み込むことそのものに恐怖を覚えてしまう方がいます。

喉にひっかかった気がする

薬を飲むときに、実際に咽頭や食道に残ってしまったり、飲み込めていても、一度ひっかかってしまったことで、喉の違和感がじぞくしてしまったりします。

錠剤嚥下障害の原因

錠剤嚥下障害の原因には何があるのか。2つに絞って原因を掘り下げていきます。

嚥下機能の低下

これは、通常の嚥下障害と特に差はなく、口や舌、喉の動きが悪くなったことがきっかけで飲み込むのが難しくなるのが原因です。

特に錠剤の場合は、噛まずに飲み込む必要があります。通常の嚥下は、食べ物を細かくかみ砕き飲み込みます。前者と後者では嚥下する難しさが全く違います。

つまり、普段の食事では特に飲み込みにくさを感じない方であっても、錠剤嚥下障害になる可能性があるのです。

薬の量や大きさが不適切

嚥下機能と関連した内容になりますが、錠剤の量や大きさが不適切な場合も錠剤嚥下障害の原因となります。

高齢者の多くは、足腰の機能が若い人よりも衰えていくのと同じように嚥下機能も低下しています。そのため、若い時には当たり前に飲めている大きさの錠剤が高齢になると飲み込みにくくなります。錠剤は先述したように、噛まずに飲み込ないといけないので、大きければ大きいほど飲み込みにくくなります。

また、薬の量も飲み込みに影響します。1錠飲むのと3錠飲むのと、10錠飲むのでは、当然ながら10錠飲むのが難しくなります。1回の嚥下で複数の錠剤を飲み込むのも難しいですが、1錠ずつ飲んだとしても、喉にひっかかってしまう可能性は高くなってしまいます。

薬の量や大きさは対象の方の嚥下機能に応じた大きさや量でないとのどにひっかかりやすくなってしまうのです。

錠剤嚥下障害のアセスメント

錠剤嚥下障害のアセスメント方法にな何があるのか。代表的なアセスメント方法にPILL-5(ピルファイブ)があります。PILL-5は服薬時の嚥下に特化したアセスメントツールになっています。

内容としては5つの質問から錠剤を飲み込む時の嚥下えんげ機能を0(なし)1(ほとんどなし)2(時々あった)3(頻繁にあった)4(毎回あった)の5段階でスコア化します。

質問内容は

①錠剤が喉につかえる

②錠剤が胸のあたりにつかえる

③錠剤を飲むことに怖さを感じる

④錠剤を飲むのが難しく、必要な薬の全てを飲みきることができない

⑤粉砕したり、包んだりなど何かしら調整をしないと錠剤を飲むことができない

の5つから構成されています。

スコア化した点数の合計が6未満だと正常、6~12未満だと軽度から中等度の
錠剤嚥下障害、12以上で中等度から重度の錠剤嚥下障害とされています。

錠剤嚥下障害の対処法

どのような対処方法があるのか。

錠剤の変更

薬は同じ内容の効能であっても、色んな種類があります。そのため、大きい錠剤を避けるように変更したり、量を減らしたりするのを主治医と相談しましょう。

錠剤嚥下補助製品を使用

最も代表的なものにオブラートがあります。

オブラートは苦い粉薬を飲む時に使用するイメージですが、錠剤嚥下障害の方にも有用です。粉薬は口腔内でばらけやすく、口の中にへばりつきやすいですが、オブラートを使うことで口腔内でばらけたり、へばりついたりするのを防ぐことができます。

その他にも服薬をしやすくゼリーなどがあります。オブラートと同じように、口腔内でばらけるのを防いで、飲み込みやすくなります。

錠剤嚥下障害の補助製品の紹介

最後におすすめの錠剤嚥下障害の補助製品の紹介をします。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

介護現場や病院でもよく見かけるらくらく服薬ゼリーです。日本はもちろんのこと世界的にも注目されている服薬ゼリーです。水で飲み込むより喉の筋肉への負荷が少ないことがデータで証明されています。最も有名な錠剤嚥下障害の補助製品の1つです。

 

 

らくらく服薬ゼリーのスティックタイプです。1回使い切りタイプで使う量が一定になるため使いすぎるリスクを防ぐことができます。

 

らくらく服薬ゼリーのチョコ風味タイプ(スティックタイプ)です。チョコ風味のため、認知症のがあって甘いものの方が飲み込みやすい方にも向いています。他にもいくつか風味がありますが、チョコ風味は個人的にも使用しやすいです。

 

オブラートは特にメーカーによる違いはありませんが、個人的にはフクロタイプが使用しやすいです。

まとめ

今回、錠剤嚥下障害について解説しました。錠剤嚥下障害と言う言葉を聞いたことがない方は多いかもしれませんが、介護・医療の現場で働いている方の多くは錠剤嚥下障害の方と関わっているのではないでしょうか。

普段、食事場面で飲み込みに問題がない方であっても、服薬場面で本当に問題がないかもう一度確認をしてみていただけたらと思います。

 

ABOUT ME
ナカマル
ナカマル
現在グループホームでST(言語聴覚士)兼介護士として働いているナカマルです。 3か所の急性期~生活期の病院を経験した後に、小規模多機能型居宅介護でST×ケアマネ×介護で働いている。 介護・医療職が悩みがちな臨床・お金・人間関係に関連する記事を発信中。 ツイッター、インスタ、公式LINEもよろしくお願い致します。
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