こんにちは。STケアマネのナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このブログでは、介護・医療職が悩みがちな
○臨床(言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下を中心)のこと
○お金に関係すること
○職場の人間関係について
について発信しています。
今回は摂食・嚥下の領域と切り離すことのできない栄養面について。
血液検査アルブミンについて掘り下げて解説していきたいと思います。

そもそもアルブミンとは
そもそもアルブミンとは肝臓で作られるたんぱく質の1種であり、主に栄養状態の指標として用いられます。そのため、病院では医師はもちろんのこと、看護師や管理栄養士、リハスタッフなどがアルブミンの数値を把握しながら栄養状態の指標として用いているのです。
最近ではプレアルブミンなど別の指標を用いられることも増えてきていますが、多くの病院でアルブミンをもとに栄養状態のアセスメントとして用いられています。
その一方でアルブミンは数字の変動がしやすく栄養状態を把握するためにはどういう条件で数値が変わるのかを知っておく必要があります。
そのため今回はアルブミンを見るときの5つの落とし穴について解説していきます。
Sリハ塾のyoutubeでも解説しているので併せて視聴してみて下さい
アルブミンを見るときの5つの落とし穴はこちら
上の資料はyoutubeから抜粋した資料です。
それぞれについて解説していきたいと思います。
半減期が2~3週間

半減期が2~3週間というのは、具体的にどういう意味かと言うと、2~3週間前の栄養状態を表していると言われています。血液検査をした時の数値は今現在の栄養状態ではないということです。そのため、アルブミンのみで栄養状態を把握するのは難しいとされています。
それならアルブミンは栄養状態をアセスメントするのには使えないのではないかと思う方もいるかもしれませんが、少なくとも少し前の栄養状態が分かることでいつのタイミングで栄養状態が悪くなってきているのかを推測するのには役立ちます。
例えば、食欲の低下があって数日間食事摂取量が少ない方がいたとして、アルブミンの数値が正常値に近ければそれまではしっかりと栄養がとれていた証明になります。
意外とあるのは、それまでは食欲があったのにここ数日であまり食べなくなったと聞いていて、アルブミンの数値が低かった場合。その場合は元々、低栄養状態でありそれに加えてさらに食事摂取量が低下したと考えることができます。
特に病院では入院前の情報が限られてしまうこともよくあることなので、入院前の栄養状態を把握するのにもアルブミンは大事になります。
その他、ポイントとなることは以下の内容になります。
・アルブミンでは栄養状態として不十分
・BMIや食事摂取量も含めて評価する
・最近ではプレアルブミンを使用する病院も増えている
特にプレアルブミンは半減期が非常に短く1.5~2日とされているため血液検査実施直前の栄養状態を数値化できるので、アセスメントとしても非常に有用です。
ちなみに血液検査以外での栄養アセスメントもあります。気になる方はこちらも参考にしてみ下さい。
腎臓や肝臓の疾患があると低くなる
腎臓や乾燥の疾患あると低くなるのはなぜか。簡単にいうと下の資料を見ていただくと分かりやすいと思います。

腎臓=ろ過する機能。腎臓が悪いことでアルブミンが尿と一緒に体外へ排出されてしまうのです。高齢になると基本的に若い時ほど腎機能は良くありません。身体機能の低下ばかりに注目されがちですが、内臓も体と同じように低下していきます。
また、肝臓=アルブミンを生成する場所です。肝臓が悪いとアルブミンの生成がうまくいきません。その結果、一度低下したアルブミンが元の数値まで戻りにくくなります。肝臓も当然のことながら、高齢になるほど機能が低下していきます。
アルブミンは肝臓や腎臓の働きに大きく左右されるので高齢者の場合、低栄養でなくても低下している可能性があるのです。
脱水があると数値上高くなる

血管内脱水があるとアルブミンの見かけ上の数値が上がります。高齢者は低栄養に加えて脱水症状のある方も少なくありません。アルブミンが3.5あっても脱水があれば本来のアルブミンの数値はもっと低いと思いましょう。
そのためアルブミンの数値を見るときは脱水がないかどうかも判断しないといけません。
脱水症状を把握するためのポイントは上記の画像を参考にして下さい。一番は血液検査の項目で脱水の有無を判断できますが、必ずしも血液検査ができるとは限りませんよね。
そのためフィジカルアセスメントも大事になります。低血圧や頻脈がないかどうか。口腔内や皮膚の脱水がないか。尿量の減少がないか。ツルゴール反応がないか(手の甲を親指と人差し指でつまみ、皮膚が戻るまでの時間が2秒以上の場合脱水を疑う)など確認をするといいです。
炎症や傷があると上がりにくい

炎症や傷があるとアルブミンが傷口から体外へ出てしまうため、低い数値となりやすいです。傷があると浸出液がでることがあると思いますが、その浸出液と一緒にアルブミンも体外へ出ているのです。
特に低栄養の方は褥瘡(床ずれ)になりやすく、その傷が治らないため栄養状態の改善が難しい場合もあります。
そのため栄養状態の改善とともに傷口を治すことも大事になります。
姿勢によって数値が変化する

医療従事者でも知らない人が多いですが、アルブミンの数値は姿勢によっても変化すると言われています。臥位に比べて座位は5%、立位は13%も高くなるとする報告があります。まあ、立位で採血をすることはないと思いますが・・・
高齢者の入院の場合は座位や臥位で採血する場合もあると思うので、どのような姿勢で採血をしたかも把握することで、アルブミンの数値を深堀することができます。
まとめ

アルブミンを見るときの5つの落とし穴について解説しました。アルブミンに限らずですが、採血データを読み解くには多角的な視点が必要となります。今回解説した5つの落とし穴を参考にしてアルブミンの変化の背景まで把握することができるようになっていただけたらいいと思います。