嚥下について

パーキンソン病からくる嚥下障害の特徴4選

こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。

10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。

現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。

このブログでは、介護・医療職が悩みがちな

○臨床(言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下を中心)のこと

○お金に関係すること

○職場の人間関係について

について発信しています。

今回は、パーキンソン病からくる嚥下障害の特徴を3つに絞って解説したいと思います。

ドパミンと呼ばれる神経細胞が減少することで、体の動きをスムーズに制御することが難しくなる原因不明の神経の病気です。主な運動症状は、ふるえ(振戦)、動作緩慢、固縮(体が固くなって動かしにくくなる)、姿勢反射障害(姿勢の保持が難しい)が有名です。そのほかにも色んな症状が出て嚥下障害のその一つです。パーキンソン病はかなり高頻度の確立で嚥下障害を合併します。パーキンソン病の嚥下障害はどのような症状がでるのか確認をしていきましょう。


1 口や舌がふるえる

2 口や舌の動きが小さくなる

3 唾液や食べ物が口の中に残りやすい

4 食事に時間がかかる

1 口や舌がふるえる

パーキンソン病の特徴として、手足のふるえがありますが、実際は手足のふるえのみではなく唇や舌もふるえてきます。これはパーキンソン病の病態を考えると分かりやすいです。

パーキンソン病はドパミンと呼ばれる神経細胞が減少した結果、体の動きを細かく調整することができません。その影響で手や足をぴたっと止めることができず体が自然と動いてしまいます。それを無理やり止めようとする結果が振戦(ふるえ)と呼ばれる症状につながるのです。

口や舌についても同様に動きを止めておくのが難くなり、ふるえにつながります。

対策としては、いわゆる嚥下体操など意識的に舌や口を動かすのが効果的です。

2 口や舌の動きが小さくなる

この症状もパーキンソン病の方には非常に多いです。会話をするときも小声になりやすい人が多いのですが、食事の際にも口や舌、顎の動きが小さいので咀嚼動作も小さくなります。

これに対しても有効な対策としては嚥下体操となります。中でも鏡を見ながらパーキンソン病を持ってる方自身が意識的に口や舌を大きく動かしていく必要があります。

鏡を見ながら行うことで、十分に動かせているかの確認をしながら訓練を行うことができます。この鏡を見ながらするのと全く見ないでするのでは効果が変わってきます。パーキンソン病の方に嚥下体操をするときは、鏡を見てもらいながらしっかりと口や舌を動かしてもらうように声掛けをしましょう。



3 唾液や食べ物が口の中に残りやすい

上記2つに関連するのですが、パーキンソン病の方の嚥下障害の特徴として唾液や食べ物が口の中に残りやすいというのがあります。

口の中で特に手前の方(唇に近い側)に残りやすい傾向にあります。この理由はやはり意識的に細かい動きが難しい結果、唇に近い側に食べ物や唾液がたまりやすいのが原因です。

そして、口の中に食べ物が残っているのが分かっていても、口や舌の動かすのが苦手なため、パーキンソン病の方からすると、飲み込んだり口の中に出したりしづらいのです。

対策としては、しっかりとうがいをすることが挙げられます。なんだ、そんな事か!と思うかもしれませんが、うがいをすることで、食べ物を喀出できるだけでなく唇の筋肉を鍛えたることにもつながります。

口腔ケアに関連する記事は下記を参考にして下さい。

4 食事に時間がかかる

4つ目の特徴として食事に時間がかかるということです。これに関しては、上記3つ全て関連するのですが、パーキンソン病の方は様々な要因で食事に時間を要し結果的にそれが誤嚥につながりやすかったりします。

例えば、食事を口まで運ぶのにも上肢の運動障害と振戦があるためうまく運ぶことができません。口に運んでからも上記の理由から時間がかかってしまいます。

そして時間がかかることで姿勢の保持が難しくなり頸部が後屈しやすいのも非常にやっかいです。頸部が後屈することで誤嚥する確率が非常に高くなります。

そのためパーキンソン病の方食事は必要に応じて食事介助が大事になってきます。勿論、すべてを手伝ってしまうとますます病状が進行してしまうので、可能なことは自分でしてもらいながら必要な部分を介助するのが大事になります。



まとめ

今回はパーキンソン病からくる嚥下障害について解説しました。パーキンソン病の方は1000人に1人程度と言われ、日本には約10万人いると言われています。勿論、全てのパーキンソン病の方が嚥下障害を抱えているわけではありませんが、先行研究では50~90%ン方が嚥下障害を併発しているとするものもあります。

パーキンソン病は進行性の疾患であるため、進行が進むとADLの低下と併せて嚥下障害を抱えることになるので誤嚥性肺炎や窒息にも注意をしていきましょう!



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ABOUT ME
ナカマル
ナカマル
現在グループホームでST(言語聴覚士)兼介護士として働いているナカマルです。 3か所の急性期~生活期の病院を経験した後に、小規模多機能型居宅介護でST×ケアマネ×介護で働いている。 介護・医療職が悩みがちな臨床・お金・人間関係に関連する記事を発信中。 ツイッター、インスタ、公式LINEもよろしくお願い致します。
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