こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
食事介助をする前に確認すべき項目を3つ解説します。
文字で読むのは苦手だ・・・
と言う方は動画にて同じ内容が学べるので視聴してみて下さい
1 覚醒レベル
食事介助をする前に確認しておきたいことの1つに覚醒レベルがあります。簡単に言うと、しっかり起きているかどうか。しっかり起きておらず、傾眠状態のままだと誤嚥や窒息を引き起こしやすくなるのは何となくイメージできるのではないでしょうか。
覚醒レベルに関しては刺激しないでも覚醒している状態(JCS0や1桁)が理想です。
Japan Coma Scale(ジャパン コーマ スケール)
0. 意識が清明 |
---|
Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態(1桁で表現) | |
---|---|
1. | だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない |
2. | 見当識障害がある |
3. | 自分の名前、生年月日が言えない |
Ⅱ.刺激すると覚醒する状態、刺激をやめると眠り込む(2桁で表現) | |
10. | 普通の呼びかけで容易に開眼する ※ 合目的な運動(右手を握れ・離せ等)を行え、言葉も出るが、間違いが多い |
20. | 大きな声または体を揺さぶることにより開眼する ※ 離握手など簡単な命令に応ずる |
30. | 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する |
Ⅲ.刺激をしても覚醒しない状態(3桁で表現) | |
100. | 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする |
200. | 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる |
300. | 痛み刺激に反応しない |
もし食事前にしっかりと起きていないと判断した場合は
・おしぼりで顔を拭く
・口腔ケアをする
・姿勢を整える などしてしっかりと覚醒を促したり、もしそれでも傾眠が強い時は時間をずらして提供するなどの工夫が必要となります。
もし、普段から傾眠傾向にある人は、通常の状態よりもより覚醒が悪くないかどうかで評価をしてみるようにして下さい。
2 口腔内の状況
食事前に確認しておきべき事として口腔内の状況があります。何故、口腔内の状況を把握しておくことがあるのか。他の記事やTwitter、Instagramでも繰り返し発信しているので分かっている人もいると思いますが、結論から言うと、誤嚥性肺炎のリスクを軽減するためです。
口腔ケアというと、食後にするイメージがあると思いますが、誤嚥性肺炎を予防する上で大事なのは食前の口腔ケアです。食前に口腔ケアをすることで仮に食事の誤嚥をしても誤嚥性肺炎の発症を優位に減らすことができるからです。
特に普段から痰の量が多い人は口腔内に痰が多く付着している可能性があります。確認しておきたい場所としては口蓋(口の中の天井部分)が挙げられます。口蓋は意識しないとなかなか見えにくいのですが、すごい量の痰が付着していることがあります。
食事を美味しく食べるという視点においても口腔ケアをすることでよりおいしく感じることが出来ます。また、上記にも記載しているように口腔ケアをすることで覚醒レベルに影響するメリットもあります。
誤嚥性肺炎のリスクが高い人においては、食事介助をする前に口腔ケアを是非、行うようにしてみて下さい。

3 姿勢
食事介助をする前に確認すべき項目3つ目は姿勢です。正しい姿勢で食事ができるとそれだけで誤嚥を大きく減らすことができます。
正しい姿勢とは具体的にどのような姿勢なのか
・足底が地面やフットレスト、踏み出しにしっかりとついている。
・体幹がまっすぐしている
・頸部を後屈させない
・背中を背もたれにつける
などを確認するだけでも誤嚥を減らすことができます。
また、食事前のみならず食事の時間中、正しい姿勢を維持できるかという視点も重要です。
もし姿勢の保持ができない人がいる場合はリクライニング車椅子を使用したり、ベッドのギャッジアップをして食事をする方が姿勢が安定することもあるので試してほしいと思います。
まとめ
食事介助は排泄や入浴と合わせて3大介助の1つと言われています。食事介助は誤った方法で関わると誤嚥性肺炎や窒息など命にかかわることも考えられます。今回挙げた3つは、食事介助をする上で最低限確認すべき内容になっています。他にも注意すべき内容はたくさんあるのでまた、別の機会にブログに記載したい思います。
もっと色んな情報を知りたいと思った方は公式LINEの友達登録もよろしくお願いします!!
