こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
今回はミキサー食や刻み食が嚥下食に向かない理由について解説していきます。
1 ミキサー食は嚥下食に向かない?
少し前までミキサー食や嚥下障害の方によく使用されていました。嚥下障害があると、しっかりと噛むことができないためミキサーにかけてサラサラにすることで噛まずに飲み込むことができます。ですが実際には水分を多く含むミキサー食は逆に誤嚥につながりやすいと言われています。ミキサーにかける際、水分と繊維の部分が分離してしまうことでかえって飲み込みにくくなるからです。その上、ドロドロにしてしまう分、見た目や食感は失われてしまうため、食欲減退に繋がる可能性もあるので注意が必要です。
さらに栄養面からみてもミキサー食はよくありません。ミキサーにかける上で水分を混ぜる必要があるためボリュームが増えます。嚥下障害の方はたくさん食べることが出来ない方も多く本来であれば高カロリーのものが推奨されるのですが、ミキサー食では水分量が多くなり量に対してのカロリーが低くなってしまうのです。この点もミキサー食が嚥下障害の方に向かない理由の1つです。
ちなみにミキサーにかけた後にゲル化剤やとろみ剤を使用することで飲み込みやすくすることは可能です。
2 刻み食は嚥下食に向かない?
ミキサー食と同様に以前は嚥下障害の方によく使用されていましたが、現在は嚥下障害の方にあまり向かないと言われています。理由としては、細かく刻んだ食物は口腔内でバラバラになってしまうからです。飲み込みやすい食物は口腔内でバラバラにならずまとまりやすい物とされています。逆に細かく刻みすぎているとかえって飲み込みにくく誤嚥したり口腔内に残りやすくなってしまいます。
そのため対策としてはあんかけ上のトロミを刻んだ食物の上からかけることで、口腔内でもバラバラにならずにまとまりやすくすることができます。
3 今の主流はソフト食
ここまでは嚥下食に向かない食事形態について解説してきました。では逆に嚥下食として用いられる食事形態には何があるのか。今主流なのはソフト食と言われています。ソフト食とはどような食事形態を指すのか。
ソフト食は、食材をミキサーにかけて固め直したもののことをいいます。加齢や病気により噛む力が弱くなっている方向けに柔らかくして提供する食事です。
歯茎や舌でつぶせるくらいのやわらかさにした食事です。また、ゲル化剤を使用して固めてあるため口腔内でもバラバラになりにくくまとまりやすいため飲み込みやすい形態です。
また、ソフト食は、盛り付けが見た目を普通食近く見せるため他の形態と異なり食事の雰囲気や香りを十分に楽しむことができます。
また、ソフト食は作るのが大変ない印象があるかもしれませんが、最近では冷凍で販売されていたり、弁当でソフト食を注文することもできます。
見た目にもおいしいソフト食は嚥下障害の方にとっても非常にうれしいと思います。
まとめ
ミキサー食や刻み食は以前は当たり前のように使用されていましたが、最近では誤嚥リスクが高かったり見た目が美味しくなさそうでありソフト食が主流となっています。ソフト食は嚥下障害の方でも誤嚥リスクを下げたうえで美味しく食べられる工夫がされています。ミキサー食や刻み食を食べている人は今もいると思います。この機会にソフト食に移行してみてはいかがでしょうか?
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