こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
今回は看取りが近い方の食事介助をする時に気を付けるべきポイント3選について解説します。
1 栄養や摂取量より好きなもの優先
看取りが近い方に関わっていると
・少しでもたくさんたべてほしい。
・少しでも栄養の良いものをやらないと。
なんて考えがちですよね。気持ちはよく分かります。それまで関わってきた時間が長ければ長いほど少しでも長生きしてほしいという気持ちは出てくると思います。
でも実際は少々摂取量が数口増えたり、栄養を多めにとれたからと言って長生きできるわけではありません。正直な話、介護スタッフの自己満足にすぎないのです。
それよりも摂取量や栄養面よりも、元々好きだった食べ物や飲み物、家族が作った食事などを食べていただく方がご本人やご家族の満足度は高いと思います。
また、栄養をしっかと取ってもらおうと思ってたんぱく質の多く含んだものを提供しようとすることもあるかもしれません。しかし、実際はタンパク質を多く含む食物は肺炎球菌のエサになります。つまり誤嚥性肺炎を引き起こしやすいのです。
食事介助をする上で知ってて損はない知識なので覚えておくと良いと思います。
2 安全な食べ物か好きな食べ物どちらを優先するか事前に明確に
これもご本人やご家族によって意見が分かれるポイントになります。誤嚥しづらい食べ物がいいのか。誤嚥のリスクが高く肺炎になるかもしれないけど好きな食べ物を優先するのか。
よく議論になるのは、ペーストが食べたくない人に対して「誤嚥リスクが高いから!」の理由で介護する側が本人や家族の意向を無視してペースト食を提供するパターン。
これも気持ちは分かるのですが、誤嚥に関しては食事形態をペースト食にしたからといって確実に誤嚥を減らせるわけではありません。
多くの場合は家族の理解を得られて食事形態を下げる選択になると思いますが、中には食事形態を下げてほしくないという家族もいます。その時に介護する側は「家族の理解が足りない」と判断してしまいがちです。
でも誤嚥性肺炎のリスクをちゃんと理解した上で、ペースト食まで食事形態を下げずに食べてほしいという希望であればそれはある程度家族の希望を優先すべきだと思います。
なぜなら何かを選択するときは介護する側ではなく本人や家族の意向が優先されるべきだからです。厚生労働省が提示している地域包括ケアの植木鉢においてもそのことは言えると思います。
いずれにしても、安全な食べ物を優先するのか好きな食べ物や食事形態を優先するのかは事前に本人や家族と相談した上で方針を決めていくことが重要になります。
3 ポジショニングをスタッフの間で統一
看取りが近くなってくるとベッドサイドで食事を提供することが増えてくることは経験上分かっている人も多いと思います。
それまでは座位で食事していた人が徐々に離床するのが難しくなってきてギャッジアップして提供するようになることは自然な流れです。その時に注意すべきポイントは食事提供時のポジショニングです。
それまで座位で食事をとっているとポジショニングに関してそれほど気にしてなかったと思いますが、ベッドサイドで食事を提供するとなると、ベッドの角度や枕の高さが非常に重要となります。
その方にとってどれくらいのベッドの角度が良いのか、どこにクッションを入れると安楽な姿勢がとれるのかスタッフ間で話し合いながら決めていくことが大事です。そして同様に大事なのが決めたことをしっかりと情報共有して統一したポジショニングがとれているかどうか。当たり前じゃないか!と思う方もいるかもしれませんが、意外とスタッフの価値観でバラバラの姿勢で食事提供をしてしまっている現状の施設もあります。
看取りの時は特に誤嚥に注意しながら食事を提供する必要があるのでスタッフ間でポジショニングにバラつきがないか確認することは大事となります。
まとめ
今回は看取りが近い方の食事介助のポイントを解説しました。当たり前の情報も多かったかもしれませんが、意外と忘れがちなところだと思います。看取りが近い時は普段、意識するべきポイントと若干視点が変わってくるので参考にしていただけたらと思います。
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