こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
今回は薬剤性の嚥下障害について解説します。
「文字で読むのはしんどいよー」って方は、ほぼ同じ内容が動画でもあるのでこちらを参照して下さい!
1 薬剤性の嚥下障害とは!?
介護施設に努めていると利用者の方の中にはかなりの数の薬を服用しているケースがあります。そして、この薬剤の中には嚥下障害を引き起こすものが数多く存在しています。
慢性気による脳血管疾患の後遺症や認知症による嚥下障害は原則として治ることはありません。勿論、嚥下訓練により症状が一部改善することはありますが。。。
その一方で薬剤性の嚥下障害は内服薬を変更することですぐに治る可能性があります。多くの薬を飲んでいる高齢者の中には不必要な薬を飲んでいる方もかなり多くいますので、飲み込みが悪い人は内服薬を見直してみるといいかもしれません。
摂食・嚥下障害に悪影響を及ぼす薬の種類はたくさんありますが、今回は抗精神薬と筋弛緩薬、抗てんかん薬の3つについて解説します。
2 抗精神薬の影響
摂食・嚥下障害に悪影響を及ぼす薬の代表格が抗精神薬です。実際に文献では抗精神病薬の投与群の方が、非投与群に比して嚥下機能が低く誤嚥性肺炎を起こしやすいとする報告がいくつかあります。
具体的な薬剤名としてはハロペリドールやクエアチピンなどが挙げられます。
そのメカニズムは、ドパミンの低下によるサブスタンスPの低下です。サブスタンスPとは、上気道での嚥下反射および咳嗽反射を制御する物質の一つです。
抗精神薬は幻覚や妄想の症状を抑えるためドパミンを遮断する効果があり、その結果サブスタンスP分泌が低下して、嚥下反射や咳嗽反射も低下することが原因とされています。
3 筋弛緩薬の影響
筋弛緩薬も嚥下機能に悪影響を及ぼす薬の1つです。筋弛緩薬は舌や喉の筋肉にも弛緩の作用があります。特に舌は筋肉の塊でもあり筋弛緩薬の影響を大きく受けます。そのため、食べ物を喉に送り込むのが難しくなり、口腔内に食べ物が残りやすくなります。また、飲み込んだ後も蠕動運動の低下してしまったり、胃食道逆流と言って食べ物が逆流してしまうなどの症状も出てしまいます。
まとめ
今回は摂食・嚥下に悪影響を及ぼす薬を紹介しました。このほかにも内服薬の中には口腔内を乾燥させてしまったり、意識レベルの低下につながる薬もあり間接的に嚥下機能に影響するものも少なくありません。内服薬が多い方で嚥下機能が悪い人は、主治医に相談して内服薬を減らしてもらう事で嚥下機能が改善することもあるかもしれません。
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