こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
さて、いきなりですが質問です。経口摂取ができないほどの重度の嚥下障害の方といえばどんな身体状況を想像しますか?
おそらく、歩けない。麻痺がある。意識障害がある。などの状態を想像すると思います。
ですが、中にはADL完全自立で重度の嚥下障害を呈する方がいます。
それがワレンベルグ症候群。今回はワレンベルグ症候群について解説をします。
「文字で読むのはしんどいよー」って方は、ほぼ同じ内容が動画でもあるのでこちらを参照して下さい!
ワレンベルグ症候群とは?
ワレンベルグ症候群は脳梗塞によって起こる症状の1つです。脳梗塞の中でも特に若年層(40~50歳代)の男性に多いのも特徴です。頭痛やめまい、吐き気などの症状と併せて嚥下障害や顔面の温痛覚障害が出現します。
嚥下機能の中枢は脳の中の延髄と呼ばれる部位にあると言われてますが、延髄の外側にある血管が詰まることで軽度~重度の嚥下障害を呈します。
軽度の方であれば少しムセがある程度の嚥下障害で済みます。しかし、中には経口摂取ができず唾を飲みこむことが出来ない人もいます。しかし、それほど重度の嚥下障害にも関わらず歩行に問題なくそれどころか小走りができるほど身体的にはほぼ問題がない人もいます。


ワレンベルグ症候群の治療方法
ワレンベルグ症候群は脳梗塞により生じるので治療としては、通常の脳梗塞の治療を行います。それと併せてしっかりと嚥下訓練をしていく必要があります。
具体的には
・バルーン訓練
・ブローイングなどの呼吸訓練
・嚥下筋関連の筋力トレーニング などが挙げられます。
また、リハビリを行っても中々改善を認めない場合は手術を行うこともあります。


ワレンベルグ症候群の予後について
ワレンベルグ症候群は比較的若年層の発症が特徴です。そのため予後に関しては良好とするケースが多いように感じます。多くの場合は病前と同じように口からご飯を食べることが可能となります。
しかし、上記にも記載しているようにリハビリをしても改善が乏しいケースもあり耳鼻咽喉科による手術をすることでやっと経口摂取ができるようになるケースもあります。
また、嚥下障害以外にもめまいなどの症状が残存することもあります。
まとめ
今回ワレンベルグ症候群について解説しました。ワレンベルグ症候群の症状は多岐にわたり軽度~重度まで様々です。そのため典型例に当たはまらないケースもたくさんあります。嚥下障害というと、寝たきりの人や超高齢者のイメージがあるかもしれませんが、体は元気な嚥下障害の方もいることは知っておきましょう。