こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
今回はギャッジアップ30°で食事介助をすることについて解説します。
1 ギャッジアップ30度は何故誤嚥しづらいのか?
食事は座ってするもの‼そう考えている方は介護スタッフの方は非常に多く感じます。勿論、私を含め嚥下障害のない方は座位で食事をするのが当たり前であり寝ながら食事をするという方はいないと思います。
ですが、実は座位で飲み込むのは解剖生理学的視点からみると非常に誤嚥リスクの高い姿勢なのです。その一方でギャッジアップ30度は解剖生理学的視点から考えると実は誤嚥しづらい姿勢となります。座位とギャッジアップ30度で飲み込む瞬間を嚥下造影検査で比較するとギャッジアップ30度では誤嚥が減るケースも珍しくありません。
その理由としては気管と食道の位置が原因です。具体的に言うと、気管が前にあり食道が後ろ側にあるため、座っている状態だと前にある気管側に入らないように、後ろの食道に食べ物を送らないといけません。嚥下障害があると後ろ側にある食道に食べ物を送れず気管側に入りやすくなってしまうのです。
そこで有効なのがギャッジアップ30度での食事です。枕を高くして首を後屈させないのがポイントになります。ギャッジアップ30度にすることで、後ろ側にある食道に食べ物を送りやすくすることで誤嚥を減らすことができるのです。

2 ギャジアップ30度の対象者は?
どのような方が対象になるのか。誤嚥性肺炎を繰り返している方に関しては座位で食べているのが原因の可能性もあるのでギャッジアップ30度の姿勢を試してみる価値はあると思います。
ギャッジアップ30度の対象となる方を具体的に挙げていくと
・舌の動きが悪く食べ物が口の中に残りやすい
・飲み込む力が弱く誤嚥を繰り返している方
・食事の間姿勢の保持ができず左右に倒れかけてしまったり、頸部が後屈してしまう方
・座位だと血圧が下がってしまう方
・疲労、倦怠感を強く座っているのが困難な方
などが対象となります。
3 ギャッジアップ30度のデメリットは?
一方でデメリットもあります。
・認知症によりギャッジアップ30度で食べることの理解ができない方は不向き
・腹圧がかかりにくく咳がしづらい
・枕を高くしないと逆に誤嚥しやすい姿勢になってしまう。
・ケースによっては座らないことで覚醒しづらい可能性がある
・自力摂取では食べにくいため原則として食事介助してもらう必要がある
まとめ
今回ギャッジアップ30度で食事をするメリット・デメリットについて解説しました。最初にも伝えた通り、介護の現場ではどうしても
「ギャッジアップ30度!?危ないよー。介護ではそんなやり方しません。」と言われることがあります。すべての症例に当てはまるわけではないですが、姿勢は食事をする上でも非常に大事であり、座位がすべてではないこともしっかり学ぶ必要があります。
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