こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。
10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。
現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。
このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。
今回は誤嚥を検出するのに有用な嚥下評価法である「VF」と「VE」について解説します。
1 そもそも誤嚥とは!?
誤嚥という言葉は一般の方にも広く知られるようになってきましたが、誤嚥という言葉を正確に伝えることができるでしょうか?誤嚥とは飲食物や飲み物などが、誤って気管に入ってしまう状態のことを指します。誤嚥によって生じる肺炎として誤嚥性肺炎がありますが、多くの場合は食べ物や飲み物の誤嚥ではなく、唾液を誤嚥することで唾液内に含まれる細菌が原因で発症します。
ちなみに誤嚥に似た状況で喉頭侵入という言葉があります。喉頭侵入とは、食物が気管に流れようとしても、声門より上にとどまり、気管には侵入しない状態です。嚥下障害の特徴でもあるいわゆる「ムセ」と言われる症状ですが、この喉頭侵入した際にムセることで誤嚥を防ぐ働きがあります。
よく介護の現場で食事中にムセ込んでいるいる方を見て「〇〇さんが誤嚥している」といった表現を耳にしますが、気管に食べ物が入ったかどうかは外から見ても分かりません。喉頭侵入で気管に入りかけただけかもしれないからです。
ではどうやったら誤嚥したかどうかわかるのでしょうか?もちろん、肺炎を起こした時にその方の身体状況や嚥下機能、肺の中でもどの部分に炎症を起こしているかなど総合的に判断して誤嚥性肺炎かな?と予測することはできます。ただ、実際には誤嚥したかどうかはある検査をしないと分かりません。それが今回紹介する嚥下造影検査(VF)と嚥下内視鏡検査(VE)になります。
2 嚥下造影検査(VF)
嚥下造影検査とはレントゲン室でエックス線を照射しながら行う検査です。エックス線を照射しながらバリウムを混ぜた食べ物や飲み物を嚥下してもらうことで口の中に食べ物が入って飲み込むまでの一連の流れが動画としてみることが出来ます。また、気管と食道も映るため食物が食道に流れているのか気管に入ってしまっているのかがはっきりと分かります。

嚥下造影検査は一般的に録画をしながら行うことが多く後で見返して嚥下訓練の参考にしたり、ご家族に説明をするときに使用することもできます。
3 嚥下内視鏡検査(VE)
次に紹介する嚥下内視鏡検査ですが、小さなカメラを喉に入れて食物の飲み込みの様子をカメラ越しに観察する検査です。唾液や喀痰の貯留の有無、食物を飲み込んだ後にのどに食べ物が残留していないかなども確認することができます。こちらも嚥下造影検査と同様に録画することで嚥下訓練の参考にしたりご家族に説明するときにも使用することができます。

嚥下造影検査と比較して飲み込む瞬間がカメラに映らないので本当に誤嚥していないかどうか分かりにくいのがデメリットですが、食べ物の残留の程度や各気管の状態は嚥下造影検査以上に分かりやすいのが特徴です。
まとめ
今回誤嚥を検出できる検査として「嚥下造影検査」と「嚥下内視鏡検査」を紹介しました。嚥下障害のある方にとって絶対必須の検査というわけではありませんが、積極的に嚥下訓練をしたい方であれば訓練の参考にもなります。誤嚥性肺炎を繰り返している方や水飲みテストなどで嚥下障害が疑われる人がいたら是非検討してみて下さい。
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