嚥下について

食事介助のポイント3つ解説

こんにちは。ST介護士のナカマル@NBTKST2222です。

10年間ほど言語聴覚士(ST)として飲み込みや言葉の訓練のプロとして仕事をしていました。

現在は、言語聴覚士でありケアマネージャーであり、現場の介護スタッフとして介護施設で働いています。

このサイトでは、言語聴覚士の専門の1つである摂食・嚥下に関係する情報発信をしていきます。

今回は食事介助で気を付けるところを解説します。気を付けるポイントはたくさんありますが今回は3つに絞って解説します。

文字で読むのは苦手だ・・・

と言う方は動画にて同じ内容が学べるので視聴してみて下さい

1姿勢

 

嚥下障害の方にとって必ずしも座位で食べるのが安全とは限りません。実は座位は誤嚥しやすい姿勢でもあるのです。とはいっても、多くの人は座位でご飯を食べている人が多いのも事実ですので今回は座位についての姿勢について解説します。

正しい座位とは、下半身と体幹を安定させることで上肢や頭頸部などがリラックスした状態を指します。下半身や体幹を安定させるにはどうしたらいいのか!?

その答えは接地面を増やすことです。地面に接している面積を増やすことで姿勢が安定します。具体的には

足底は踵まで地面や踏み台、フットレストにつける

背中を椅子の支えるところにつける

おしりを椅子の奥の方にしっかりとつける

 

これらを意識するだけで姿勢は格段によくなります。下肢・体幹が安定すると上半身がリラックスして連動しやすくなり手、口、喉の動きも良くなる傾向にあります。

逆に言うと、姿勢が安定しないと喉の動きも悪くなったり、頸部後屈して誤嚥を増長させる姿勢になってしまうのです。

 

高齢者は筋肉減少から座位の不安定を招きやすいため、床面には足底、座面には両坐骨をきちんとつけて、筋肉の相互作用で下半身を安定させます。下半身が安定することで上半身がリラックスし、両手、口、のどが働きやすくなります。

食事の介助は姿勢を正すところから始まっていることを意識しましょう。

 

2 意識レベル

嚥下障害のある人の中には意識レベルの低い方も多いです。これに関しては解説がなくても何となく理解できると思いますが、ぼーっとした状態で食事をすると誤嚥リスクが高くなります。当然ですが・・・。

意識レベルが低いと一言で言ってもどの程度の意識レベルであれば食べていいのか。一般的には声をかけなくても目があいている状態が理想です。ただ、実際のところ常に目を閉じている方が経口摂取できないかと言えばそうではありません。普段から目を閉じている人の中にも食べ物が口の中に入ると「もぐもぐごっくん」と力強く飲み込むことができる人がいます。

なので考えるべきポイントは普段はしっかりと開眼している人が目を閉じてぼーっとしていたり、普段は目を閉じてても「もぐもぐごっくん」がスムーズにできる人が口に入れても飲み込もうとしないときは誤嚥リスクが高い状況だと思ってください。

なぜ、このようなことを言うのか。多くの介護現場では時間に追われて業務をしています。食事介助をする時に多少ぼーっとしていつもより反応が鈍くても時間に追われているとつい、そのまま食事介助をしてしまいがちです。でもこれは本当に危ないです。誤嚥しやすいだけでなく窒息のリスクも非常に高い状況です。万が一にも窒息させてしまうのは自分自身であることも忘れてはなりません。

ちょっと時間をずらして提供していいし、1食抜いても何か健康に影響するわけではありません。窒息のリスクを考えると無理をさせないという選択肢も忘れないようしましょう。

3 一口量

食事介助をする上で意外と難しいのが食事の1口量です。人によって一口量は一定ではありません。少なすぎるとごっくんが出にくいですし、大すぎると口の中に食べ物が残りやすかったり誤嚥しやすかったり最悪窒息にもつながってしまいます。

一口量は食べ物によっても変わってきます。よくあるのは食事介助を早くしたいためにカレースプーンを使って山盛りにして口の中に入れてしまっているケース。これは本当に誤嚥・窒息リスクが高いのでやめましょう。

逆に1口量が少なすぎると喉の奥に食べ物を送りにくくなります。特に舌の動きが悪い嚥下障害の方はより時間がかかってしまいます。適度な1口量は人によって違いますが、まずはティースプーンで提供してみて少なすぎると判断した場合は徐々に量を増やしていくのがおすすめです。

まとめ

今回は食事介助のポイントを3つに絞って解説しました。勿論、ほかにも注意すべき食事介助のポイントはたくさんあるのですが、まずはこの3つのポイントを絞って解説しました。ぜひ、食事介助に関わっている人は参考にしていただけたらと思います。

ABOUT ME
ナカマル
ナカマル
現在グループホームでST(言語聴覚士)兼介護士として働いているナカマルです。 3か所の急性期~生活期の病院を経験した後に、小規模多機能型居宅介護でST×ケアマネ×介護で働いている。 介護・医療職が悩みがちな臨床・お金・人間関係に関連する記事を発信中。 ツイッター、インスタ、公式LINEもよろしくお願い致します。
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